"本来ならありえない事を実現する"
"いけないこと"
"順番が逆"
これらの要素がナンパで即まで至った時に刺激の材料となる。
2月某日
daiceは馴染みの鉄板焼きの居酒屋で一人酒を煽っていた。
すっかりナンパからは遠い生活を送っている。
だが、またナンパを始めようかなと思い立ち、今日に関しては服も髪もセットしてきた。
いつでも狩りができる準備を。
今日の昼間には「祝開設5周年のご挨拶」というタイトルでブログにエントリーしたばかりだった。
ブログには今年も緩くナンパを続けていきますという内容で執筆した。
daiceは時計を見た。
22時を半刻過ぎたあたりだった。
「そろそろ行こうかな。」
そっと呟く。
外に出ると肌に突き刺さる北風が痛かった。
(ナンパをしよう。)
心の中で決心する。
正直なところ一人でストナンするのは久しぶりだったし、本気でしようと思えばある程度の繁華街や人通りの多い場所に行く方が良いので、3人くらい声掛けのリハビリをして帰る予定だ。
その中で1番ゲくらい出来たらいいなと。
daiceがいる場所は電車から人が出てきた時以外は人が2.3人くらいしかおらず、電車の降車客が10分ごとくらいに10人くらい降りてくるような駅だった。
とても田舎なので、ここでナンパしようと考えるような阿呆な男はdaiceくらいしかいないだろう。
それでもdaiceはこの場所から今までに3.4即くらいか生み出した経験がある。
それら全て準即だが。
「こんばんは!今日はパーティーでもしてたのかい?」
久しぶりの声掛け。
緊張した。
声が少し震えたような気がする。
3回くらい言葉のキャッチボールを交わす。
ありがとね、番げも出来ずに放流した。
ダメだった事なんて気にしてなかった。
それよりも声掛けの一歩目が出た事に安心した。
ナンパとは声掛けさえ出来ればあとは確率論の話になってくる。
どんなにモテない男だろうが声掛けさえ続けていればいずれ結果は出るだろう。
そんなもんだ。
初めは100人に声掛けして1人しか連絡先を交換出来なかったとしても声掛けの質や自分を磨いたり、慣れてくれば、100人に対して、2人、3人と確率が上がってくる。
要はナンパで1番大切な事は
"声をかけるちょっとした勇気"
だけなのだ。
その後も5.6人くらい流しながら降車客に声掛け続けただろうか。
番げすら出来ない。
初日だし、こんなもんだろう。
でもなんか久しぶりにナンパしてる自分が嬉しかった。
今日はもう少しナンパ続けようかな。
そんな事を思いながら大きな荷物を持ったタートルレディに近づく。
セオリー通り追い越して自分の姿を彼女に確認させてから振り向きざまに声をかける。
精一杯の笑顔で。
「こんばんは!ディズニーランドは楽しかったかい?」
声が上手く出なかったかな。
「え?」
彼女はイヤホンを外してこっちを見た。
可愛いな。
daiceは心の中で思った。
もう一度聞く。
「ディズニーランドは楽しかった?その袋ディズニーのやつやん」
「いや、ディズニー行ってないです。大阪から帰ってきました。」
彼女は大阪出身の学生だった。
大学に通うためにこちらにきており、一人暮らしをしているようだ。
会話のキャッチボールをする。
簡単に自己開示をし、友達を待っていると時間制限をする。
なるべく大袈裟に笑う。
笑顔は警戒心を和らげる1番の武器だと思う。
「友達スロット打ってるらしくて、まだ時間かかるみたいだし、寒いからそこで一杯だけ付き合ってくれない?」
daiceから連れ出しの打診。
「私も友達のバイト終わるの待つので、少しならいいですよ」
連れ出しが決まった。
彼女とたくさん話した。
笑顔が素敵で学生特有の怖いもの知らずってやつ。
まだ社会の厳しさも知らないし、それなりにモテるし、遊びも全力って感じだ。
何度見ても可愛いと思ったし、自然とdaiceのテンションも上がった。
普段社会人だったり、歳上の人ばかりと遊んでいたから、ここまで歳下の女性は新鮮だった。
彼氏はいない。
最近まで不倫相手をしていたが、その人と別れたばかり。
クラブに遊びに行くのが好き。
「実はね、私パパ活してるの。おじさんとかとご飯食べてお金もらってる。でもね、ご飯以上の事を誘われることもあるけど、それはしないようにしてる。」
そうなんだ。
どうりで歳上のdaiceに対して恐怖心もなく話してくれるわけだ。
会話にネグや、ボケ、ゲームを混ぜながら話す。
場が和んでいる。
「やばい、めっちゃ面白い事言うやん。楽しいね。」
うん、俺も楽しいよ。
彼女がdaiceの手に触れてきた。
対面の席だが手を繋ぐ。
食い付きは強そうだ。
店員がいない事を確認して、彼女の顎に手を当ててキスをした。
受け入れてくれた。
彼女は仕上がっていた。
隣の席では他の男女が付き合う付き合わないの話をしている。
しかしその隣の席ではさっき出会ったばかりの男女がキスをしている。
世の中は不思議だなと思った。
彼女の友達はもう家に帰ったとの連絡。
daiceの友達ももう帰ってて、来ないよ。
それなら今日は一緒にいよう。
いいけど、どこで?
○○の家は、汚いの?
いいよ、汚いけどうちに来る?
ありがとう。
2人は極寒の中、外でもくっつき、物陰に隠れてキスをしたりしながらタクシー乗り場に向かう。
彼女の家は綺麗だった。
大きな部屋、親が家賃は支払ってくれてると。
大切にされてるんだなと思った。
お互いシャワーを浴びて、狭いシングルベッドの布団に2人で潜り込む。
綺麗な胸でボリュームもあったし、足も好きな太さ、肌は白い。
前戯をしっかりこなして
即。
終わった後も2人でゆっくり話しながらイチャイチャした。
「口に出したら飲んであげる。
顔射でもいいよ。
あ、ピル飲んでるから中に出してもいいよ。」
学生なのにポテンシャル高いな。
そんな事を聞いたら試してみたくなるね。
朝まで結局よく眠る時間はなかった。
あの人のいない駅前からこんな出会いがあるなんて。
daiceは持っていると思った。
年明けの即といい、引きが強い。
ラッキーな男なのかもしれない。
ナンパってこれだからやめられない。
あの時の
"声をかけるちょっとした勇気"
にありがとう。